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自転車好き三十路おじさんの雑記帳

ハンマー・シリーズの感想を忘れないうちに書いておく

hammerseries.com

『世界最高チームを決める革新的な新プロロードサイクリングシリーズ』を開催コンセプトにしたハンマー・シリーズの第1回『スポートゾーン・リンブルフ』が6月2日から6月4日まで開催されたので、その概要と感想を忘れないうちに書いておこうと思います。

 今までのロードレースと何が違うのか

www.jsports.co.jp

J SPORTSの解説がいろいろと詳しいですが、より簡単に説明すると、11のワールドツアーチームによって設立された合弁企業のヴェロンが主催する、クライマー・パンチャー向きの『ハンマークライム』、スプリンター向きの『ハンマースプリント』、前2レースの獲得ポイントによってタイム差が付けられるチームタイムトライアルの『ハンマーチェイス』という3つの周回レースで競われるチーム対抗のレースです。

今までのロードレースはチームスポーツではあるものの、最終的に表彰台に立つのはエース1人だけで、その背後にいるアシストたちは表彰されません。ハンマー・シリーズはこれまでのロードレースと異なり、チーム単位のチーム対抗戦にし、表彰も個人ではなくチームに対して行うという、よりチームにフォーカスしたレースになっております。

ちなみにチームの人数は7名という規定ですが、1レースにはそのうちの5名のみが出場可能です。そのため、ハンマークライムにはスプリンターを出さず温存して、ハンマースプリントには逆にクライマーを出さない、みたいなことが出来るようになっています。

さらにレースもツール・ド・フランス等が1レースに5〜6時間の長丁場になるのに対して、ハンマー・シリーズは周回レースで1レースが2〜3時間で終了します。ですので、よりテレビや観戦向きのコンパクトでエンターテイメント性の強いレースとなるように考えられています。

さて、オランダ南部のリンブルフ地方で開催され、16ものチームが参加した記念すべきハンマー・シリーズ第1回、スポートゾーン・リンブルフが実際どうだったのか、振り返ってみましょう。

なお、詳しいレース結果とかどの選手がどうだったかとかは他所がいくらでも書いてると思うので、こちらではレースそのものに焦点を当てております。

ハンマークライム

スポートゾーン・リンブルフのハンマークライムは7km×11周の77km。丘陵コースで高低差は162m、登りが2つあり、1つは900mの平均勾配4.2%、もう1つは2000mで平均勾配5.3%でこの山頂がフィニッシュラインとなっており、毎周回の通過時に上位10名に順位に応じたポイント(1位から順に10、8.1、6.6、5.3、4.3、3.5、2.8、1.9、1.5)がチームに与えられます。なお、3週目、7週目、11週目はポイント2倍です。

11周目終了時に最もポイントを獲得したチームが勝者となり、上位10チームに3日目のハンマーチェイスで最大15秒(1位から順に15秒、12秒、10秒、8秒、6秒、5秒、4秒、3秒、2秒、1秒)のボーナスタイムが与えられます。

さて、実際のレースがどうだったかというと、レース開始直後にアタックがかかり逃げ集団が形成され、以後メイン集団は先頭集団に最後まで絡むことなく終了。登り基調のコースを序盤から全力で走ることが要求され、一度先頭集団から遅れてしまうと後続はその後挽回する機会がなかなかありません。そのせいか、先頭集団にメンバーを送り込むことが出来なかったチームも存在し、レース終了後の順位では16チームのうち下位6チームは0ポイントという有様です。

対して先頭集団ではモビスターのベタンクールが11周回のうち6周回で1位となり、チームレースってなんだっけという今後が思いやられる展開に。表彰されるモビスターを見ながら、逆にあれだけ活躍したベタンクールが個人として表彰されないのに違和感を覚えてしまいました。

ハンマースプリント

気を取り直して翌日のハンマースプリント。

スポートゾーン・リンブルフのハンマースプリントは12.4km×8周の99.2km。丘陵コースのハンマークライムに対して、こちらは高低差47mのほぼ平坦コース。それ以外はハンマークライムと同じで毎周回のフィニッシュライン通過時に上位10名に順位に応じたポイントが与えられ、8周終了時に最もポイントを獲得したチームが勝者となり、上位10チームに3日目のハンマーチェイスで最大15秒のボーナスタイムが与えられます。

さて、レースですが、平坦コースのために昨日のハンマークライムのように容易に逃げは決まらず、アタックと吸収を繰り返す目まぐるしい展開。しかし、5名という少ないチーム人数のせいか、チーム単位での動きがなかなか見られず、さらにハイペースなレースはスプリンターよりもルーラーに有利で、今日のレースで活躍が期待されていた本年度のジロで4度のステージ優勝を挙げポイント賞を獲得した、クイックステップのフェルナンド・ガリビアが途中でリタイヤするという波乱の内容。

そんな中、チームスカイが4週目に10位以内に3名を送り込み一気に大量のポイントを獲得し、2日目にしてはじめてレースの本来の見所であるはずのチームプレイが見られました。

ハンマークライムのような単調な展開ではなかった(そのおかげでハンマースプリント終了後には全てのチームがポイントを獲得しております)ものの、まだまだチームのレースという要素が希薄で、今後チームスカイが行ったようなチームプレイがもっと増えていけばさらに楽しめるだろうなとは思いました。

ハンマーチェイス

チームタイムトライアルっぽいけど、ちょっとだけ違うハンマーチェイス。トレインを組んで前のチームを追いかける構図に付いた通称が『弱虫ペダルレース』。確かにしっくり来る表現ですね。

レースは14.9kmの周回コースを3周するチームタイムトライアルで、出走チームメンバー5人のうち4人目がゴールした選手がチームの成績となります。

16チームのうちポイント上位8チームが第1グループ、下位8チームは第2グループと分けられ、それぞれ別のレースを走ります。総合優勝は第1グループでのみ争われ、第2グループは総合優勝を狙うことはできません。

出走順は上位のチームから先にスタートし、タイム差は2位チームが30秒遅れ、3位チームが55秒遅れ、4位チームが1分15秒遅れ、以下15秒づつのタイム差が基本となり、さらにそこにハンマークライムとハンマーチェイスで得たボーナスタイムが追加されます。通常のチームタイムトライアルと比べ、スタートの間隔が狭く(下位チームは15秒差しかない)、さらにタイムではなくゴールを競うため、通常ではありえない混戦が予想されます。

いざ、レースが始まると、通常のチームタイムトライアルではまず見ることのできない、TTバイクでトレインを組んだチームが小競り合いをするという、選手にとってはたまったものじゃないけど、観てる分には面白いレースが展開されます。ちなみに他チームの後ろにつくという、明確なドラフティング行為は禁止されています。

特に第2グループのトレック、クイックステップ、BMCの三つ巴の争いはなかなか白熱しました。BMCの4人がパンクするという不運さえなければ、もっと面白かったと思うので、残念ではありますが。

第1グループは先頭のチームスカイをサンウェブが追いかける展開で、サンウェブが徐々に差を詰め、3週目の後半でついにサンウェブが追いつき、そのまま先頭へ。最終コーナー手前でチームスカイがペースを上げ再び先頭に踊り出るも、そのまま競り合いとなり、トレインが崩れ両チームが混走する状態で最終コーナーを抜け、ラストの直線のスプリントへ。チームスカイが優勢で3名がフィニッシュラインを通過するも、4人目のゲオゲガンハートが遅れ、危うくサンウェブに抜かれそうになるもギリギリで踏みとどまりフィニッシュラインを通過するという、なかなか興奮するラストでした。

なお、それ以下の3位〜8位までの6チームは終始団子状態の接戦で、ドラフティング行為が禁止されているものの、混戦状況では後ろにつかないほうが無理だろうという状況でした。ここらへんは今後の課題でしょう。

レースが終わってみての感想

個人的にはハンマー・シリーズにはかなり期待していたのに、ハンマークライムが終わったあとのコレジャナイ感に脱力したわけですが、徐々に巻き返してきて、最後のハンマーチェイスでなかなか面白いものが観れて、とりあえず次回があるならまた観ようかなという心境になっております。

それと同時に気付かされたのは、ツール・ド・フランスをはじめとする伝統のロードレースの素晴らしさです。長いステージを連日走り続ける先にあるドラマチックな展開は、長年の歴史が蓄積された結果なのかも知れません。

それと比べるとハンマー・シリーズはまだまだ始まったばかりのレース。今回のレースでいろいろと改善点(個人的にはチームスポーツとするなら、まずは1レースでの個人獲得ポイントの上限を設けたほうが面白い気がします)が見えたかと思いますので、今後どうなっていくかを楽しみにしていこうと思います。この規模のレースであれば、やりようによっては国内でも開催できそうですし、将来的には期待したいところです。

と、ここ数年でロードレースを観始めたにわかが偉そうなこと言ってみます。